【9月4日 AFP】米バイオ・ベンチャー企業セレラ・ジェノミクス(Celera)の設立者で、2000年に米政府系研究グループと同着で人間の全遺伝情報(ヒトゲノム)の解読に成功したクレイグ・ベンター(Craig Venter)博士のゲノムが解読され、インターネットで無料公開されている。米科学誌プロス・バイオロジー(PLoS Biology)上で4日、公表された。特定の個人のヒトゲノムが完全に公表されたのは世界初。今回の研究結果では、従来の定説よりもヒトの遺伝的多様性が幅広いことが示された。

 ベンター博士によると、公表されたゲノムは28億個の遺伝情報を含んでおり、予防薬の進歩に寄与することが期待されるという。ベンター博士はまた、今後5年以内には、より迅速で安価な配列解析技術を使用した1万人分の完全なゲノム作成が可能となり、「個人レベルのゲノム学の時代」の基礎が形成されるだろうと予測する。

「そのような基礎ができれば、何が遺伝的要因で、何が環境的要因なのかなど、自然対育成の根本的な問いにも基本的には回答可能になる」(ベンター博士)

 今回の研究は、すべてのヒトは遺伝子の観点からは99.9%同一であるとの定説を覆す内容となっている。

 先行研究は、数人から採取した寄せ集めのDNAに基づいていたため、遺伝子の多様性を過小評価した点で欠陥があったという。(c)AFP/Marlowe Hood