【8月9日 AFP】クローン技術を繰り返し用いて「第4世代」の豚を作ることに、明治大学農学部の長嶋比呂志(Hiroshi Nagashima)教授(発生工学)らが世界で初めて成功し、8日発表した。人間への新たな移植治療の可能性も期待されている。

 同教授によると、7月23日に第4世代のオスのクローン豚が生まれた。

 同教授はAFPの取材に対し、「これにより、大型ほ乳類も数世代にわたりクローン技術で作り出すことが可能だと証明された。これまで、クローン技術を繰り返し用いることで、前世代から抽出した細胞の核内にある遺伝物質が劣化するため、数世代目のクローン動物には問題が生じるとされてきた」と語った。

 マウスでは米国の研究者らが「第6世代」の作製に成功している。ただ、長嶋教授は豚はマウスより人間に近いため、今回のプロジェクトの成功はより価値があると指摘する。

 この分野の研究が進めば、インスリンを作り出す膵臓を、クローン豚から人間の糖尿病患者に移植するなど、多様な疾病を治療するために、クローン豚の臓器や細胞が人間に移植される可能性も出てくるという。(c)AFP