【7月24日 AFP】自閉症の家系でない子どもに自閉症の症状が見られた場合、原因は代々受け継がれた遺伝子の性質よりも、むしろ親の持つ正常な遺伝子が突然変異を起こした可能性が高い。こんな研究結果が23日、発表された。

 研究によると、家系に自閉症の子どもがいない家族の場合、子どもあるいはその親の遺伝子が突然変異を起こしDNAに異常を来すことが、突然の自閉症の発生の大きな原因となるという。

 自閉症がなぜ生じるか、遺伝子的にはまだ解明されていないが、最近の調査によると症状の10%は、DNAの起こすちょっとした異常で説明できるという。

 自閉症は散発的に起こるのがふつうだが、そういう場合はDNAが異常を起こした可能性が高いという。

 ニューヨークのコールドスプリングハーバー研究所(Cold Spring Harbor laboratory)とアルバート・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)は共同で、複数の自閉症のデータベースを数学的に解析し、自閉症の発生分布状況を新しい仮説で説明できるかどうか調べてみた。

 その結果、特に母親側がDNAの異常を起こした場合、50%の割合でその傾向が子どもにも受け継がれ、自閉症の原因となると仮定すると、これまで解明できなかった自閉症分布のパターンが説明できるという。

 遺伝子が突然変異をおこし、特定のDNAが消えたり重複する異常を起こす傾向を持つ女性は、自分では症状を覚えなくても、子どもが自閉症になる可能性は高いという。

 さらに、年齢とともにDNAが異常を起こす回数は高まるため、高齢の親に自閉症の子どもが多くなる理由も説明できるという。

 対人関係やコミュニケーションの技能に支障を来たす自閉症は、出生児の150人に1人の割合で発生し、そのほとんどは男児であることが米国政府の調査でわかっている。

 研究結果は国立科学アカデミー(National Academy of Sciences)の会報に掲載される。(c)AFP