【7月20日 AFP】天井に張り付くヤモリ。海中でもぴったりとくっついて離れないイガイ(ムール貝)の貝殻。この2つから着想を得て、米国シカゴのノースウエスタン大学(Northwestern University)のフィリップ・メッサースミス(Phillip Messersmith)教授(生体工学)らが、繰り返し着脱可能で強力な接着剤を発明した。

 ヤモリ(gecko)とイガイ(mussel)を組み合わせ「ゲッケル(geckel)」と名付けられたこの新接着剤に関する研究記事は、18日発行の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された。

 これによると、ヤモリの足には微細な剛毛が生えており、さらにその先がへら状に分かれているため、平面と接したときに引力が発生。この引力によって天井に張り付いたり垂直な壁を登ったりできる。ただしその接着力は一時的で、水中では接着力が格段に弱くなる。

 メッサースミス教授は、このヤモリの微細毛に似せたナノ単位のシリコン製細毛を作成。これをイガイが持つ接着性タンパク質を模したポリマーでコーティングし、「ゲッケル」として開発した。乾湿両方の条件で、1000回以上着脱可能だという。

 同教授は、商品化にはまだ時間がかかるとしながらも、将来的には医療、工業、民生品、軍用品などあらゆる分野への採用を見込んでいる。特に、手術後の縫合など、医療分野での採用に適しているという。(c)AFP