写真は、枯草菌の映像(撮影日不詳)。(c)AFP/INSTITUTE FOR ADVANCED BIOSCIENCES/KEIO UNIVERSITY
【東京 23日 AFP】子孫に何か言葉を遺したい――そんな人類の夢を、科学者が可能にしてくれるかもしれない。文字通り、遺伝子にメッセージを書き込むのだという。
慶應義塾大学・先端生命科学研究所の研究チームが明らかにしたもの。生きた細菌のDNA(デオキシリボ核酸)にデジタルデータを保存する技術を開発したという。DNAの保存状態さえ適切であれば、数千年間にわたりデータを保存することも可能だ。
研究に使用されたのは、枯草菌という細菌。土壌内などで繁殖する菌で、暑さや寒さへの耐性に非常に優れ、1つの菌が約2メガビット(ローマ字にして160万文字相当)の容量を持つという。
■課題は残るが、実用化へは前向き
研究チームは、技術的にさらに改善の必要があるとしながらも、将来の実用化には前向きな姿勢をみせる。実用化に向けての課題としては、たとえば、通常の細菌のようにDNA配列が変化しないようにする方法などを模索しなければならないそうだ。
実用化のあかつきには、たとえば製薬会社などが、自社ブランド製品に署名データを書き込んだDNAを組み込むなどの利用方法が考えられる。
研究チームのリーダー、大橋由明非常勤講師は、「署名データを書き込んだDNAがあれば、企業は海賊版の製造や特許侵害を防止できるでしょう。遺伝子の特定領域にそうした情報を組み込んで、あとから取り出すこともできるはず」と語る。
■4重のバックアップ
また、同一データをDNAの4か所に書き込むことにより、1つのデータが壊れても、バックアップが残るような工夫がなされている。
「細菌のDNAに日記を書き込んで一緒に埋葬してもらえば、日記は何千年先の未来まで保存されるわけです」と大橋氏は笑った。
写真は、枯草菌の映像(撮影日不詳)。(c)AFP/INSTITUTE FOR ADVANCED BIOSCIENCES/KEIO UNIVERSITY