
【ワシントンD.C./米国 28日 AFP】米内務省は27日、地球温暖化の影響で危機にさらされているホッキョクグマ(polar bear)を、絶滅危惧種に指定する方針を発表した。これが実現すれば、地球温暖化が特定種の絶滅に関与していることを米政府が初めて認める形となる。
内務省・魚類野生生物局(Fish and Wildlife Service)のダーク・ケンプソーン(Dirk Kempthorne)内務長官は同日会見を行い、「地球の温暖化により、ホッキョクグマのえさの捕獲に必要な北極海の海氷が気温上昇で解けている」として、絶滅危惧種法上の指定を提案した。
ホッキョクグマは現在、世界に2万から2万5000頭が生息。このうち約47000頭がアラスカ州およびその周辺にすんでいるとされる。複数の環境保護団体が長年にわたり、地球温暖化によりホッキョクグマが絶滅する危険性を指摘し、警告を発していた。
■環境団体、米政府に嘆願書を提出
ホッキョクグマが絶滅危惧種法上の保護種に指定されれば、米国産業は、生産過程における二酸化炭素排気量を減らすことを余儀なくされる。
一方、内務省は、絶滅危惧対象種の保全温室効果ガスの排出量の排出抑制を国内産業に求めることは、「内務省の範囲外の問題だ」としている。さらに、アラスカにはある油田やガス田の掘削拡大は、ホッキョクグマの生息環境に悪影響を与えないとみなす、との立場も表明している
生物多様性センター(Center for Biological Diversity)、天然資源保護評議会(NRDC)、グリーンピース(Greenpeace)ら3つの環境団体は、米政府がホッキョクグマの生息地保全のために十分な措置を取っていないとして非難。このほどホッキョクグマの種の保護を要請する嘆願書を米政府に提出し、その回答期限を27日としていた。同日に米政府がホッキョクグマを絶滅危惧種指定する方針を発表したのは、この嘆願書を考慮しての行動だったとされている。
生物多様性センターの会長Kassie Siegel氏はAFPに対し、「今回の政府の提案は、米国の地球温暖化問題における対応の大きな転機となった。これでブッシュ政権も、温暖化がホッキョクグマの生息地に影響を与えていることを否定できなくなるだろう」と述べた。
また、NRDC主任弁護士のAndrew Wetzler氏は、「今はもう、中途半端な対策を講じたり、対策を先延ばしにできるような状況ではない」として、米政府が科学的警告を正面から受け止め、ホッキョクグマの保全対策に向けて全力で取り組まむべきだと主張している。
絶滅危惧種指定に関しては、一般の意見を聞くパブリックコメントを募ったうえで、1年以内に正式決定するという。一方、専門家らは、今回の提案が可決される見通しはほとんどないとみている。ホッキョクグマの絶滅危惧種指定を支持するパブリックコメントは、これまでもすでにに20万以上寄せられていたからだ。
米国は世界最大の温室効果ガス排出国。 2001年にジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush) 大統領が政権を握って以来、米政権は地球温暖化防止のための京都議定書(Kyoto Protocol)から離脱、多くの環境団体から激しい非難を浴びている。
写真はモスクワ動物園のホッキョクグマ。(c)AFP/MAXIM MARMUR
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