
【パリ/フランス 23日 AFP】月の南極に大量の氷があり、月面コロニーを建設する際に利用できるのではないかとの期待は、残念ながら根拠のないものだったとの論文が19日、英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された。
■レーダー映像に氷の層
1994年に米国の月探査衛星「クレメンタイン(Clementine)」が撮影したレーダー映像から、月の南極近くにあるクレーターの地下に氷の層がある可能性が指摘されていた。月の南極は太陽からは常に陰になっている。
もし本当に月面に氷が存在するなら、生活用水や水素燃料として活用できるため、月面コロニー計画を促進するとみられていた。米航空宇宙局(NASA)は、2020年に実施予定の月への「帰還」ミッションに備え、月南極を着陸地点として詳しく調べていた。
■「クレメンタイン」のデータは誤解
しかしこのたび「ネイチャー」に発表された米研究チームの論文によると、「クレメンタイン」のデータはほぼ確実に誤解されていたという。
米スミソニアン協会(Smithsonian Institution)のドナルド・キャンベル(Donald Campbell)研究員らのチームは、月南極のレーダー映像を20メートルのサイズに引き伸ばし、とくにNASAが着目しているシャクルトン(Shackleton)クレーターを重点的に調べた。
■円偏光比は荒れた地形に反射してできたもの
そこで分かったのは、「クレメンタイン」の実験時に氷の層を示しているとされた円偏光比と呼ばれるレーダーの痕跡は確かにあるが、荒れた地形や衝突クレーターの凹凸などに反射してできた可能性もあるということだった。
この痕跡は、クレーターの日なた部分と常に日陰になっている部分の両方にあることから、氷の層ではなく岩石の破片とみられる。
■氷があるとしても、地面に1、2%ほど細かな粒子程度
論文では、もし月南極に氷があるとすれば、おそらく地面に1、2%ほど細かな粒子の状態で散在している程度だろうとして、「高濃度の氷の層が局在しているという期待に反する低い確率が出たことで、南極での水素開発計画は制約を受けざるを得ない」と述べている。
この研究では、プエルトリコ(Puerto Rico)にあるアレシボ(Arecibo%)観測所の電波望遠鏡からレーダー信号を月面に照射させる実験を行った。月の南半球に当たった反射波を、ウェストバージニア州のグリーンバンク望遠鏡(Green Bank Telescope%%)で受信した。
写真は月の南極。(c)AFP/NASA
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