【3月12日 AFP】シリア、中国、イラン、バーレーン、ベトナム各国政府が著しいインターネット監視を行っており、反体制派らへの弾圧に用いられているこれら監視技術の輸出を規制するべきだとの提言を、メディア監視団体の国境なき記者団(Reporters Sans FrontieresRSF)が12日、行った。

 また、国境なき記者団の報告書「インターネットの敵(Enemies of the Internet)」は、抑圧的な政府を支援している「デジタル時代の傭兵組織」としてガンマ(Gamma)、Trovicor、ハッキングチーム(Hacking Team)、アメシス(Amesys)、ブルーコート(Blue Coat)の5社を名指しで挙げた。

 報告書は「世界サイバー検閲反対デー(World Day Against Cyber-Censorship)」に合わせて発表された。

■ネット監視強めるシリア

 報告書によると、シリアのネット人口推定500万人は国家による監視に常にさらさており、これまでに記者22人、ネットユーザー18人が当局に拘禁されている。

 シリアのインターネットを管理するのは、STESyrian Telecommunications Establishment)と、同国のバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が創設したSCGSyrian Computer Society)の2組織。SCGがシリアの3G(携帯電話通信)網を管理し、STEが固定回線の大半を管理している。

 流出した1999年のシリア全国規模のインターネットシステム構築の入札案内資料によると、シリアのネットシステム構築にあたっては、オンラインとオフラインの活動を記録し、シリア国内から発信された電子メールを複製し、暗号化されたデーターの検出と傍受、遮断をする能力が要求されていた。

 また報告書によると、シリア政府は2011年、ブルーコートのプロキシーサーバー技術などを含む新技術を導入したという。

■イラン、政府が監視技術の開発を主導

 一方、イランは、同国の核関連施設に対する一連のサイバー攻撃への対応だとして、国内でのインターネット技術の開発を進めている。イランでは「電子メールや検索エンジン、ソーシャルネットワークなどのアプリケーションやサービスの開発が政府の管理下で進行」しており、これによって「大規模監視と反体制派のシステマティックな排除」を目指していると、報告書は述べる。

 バーレーンは、ネット普及率が77%と中東で最も高い国だが、過去3年間で監視や報道規制などが劇的に増加しているという。また、ベトナムのインターネットは回線品質は悪いものの政府の厳しい管理下にある。

■中国、情報遮断と情報提供者の拘束

 だが規模という点では、中国共産党が「世界最大規模のデジタル帝国を管理している」とRSFは述べ、中国では、個人や企業は、政府管理下の企業あるいは国からインターネットのブロードバンド回線を借りる以外の方法がないことを付け加えた。

「インターネットをフィルタリング、監視するための技術は総体として『グレート・ファイアウオール(万里のファイアウオール、Great Firewall of China)』の名で知られている。2003年に開始したこの技術のもとでは、外国サイトへのアクセスをフィルタリング(選別)することが可能」な他、不適切なコンテンツを遮断することもできる。

「中国は報道や情報提供に携わる人を、他のどの国よりも投獄している。現在、記者30人、ネット市民69人が獄中にある」と報告書は指摘した。

■「抑圧国家への監視技術の禁輸を」RSF

 RSFは、基本的人権を無視し、反対者を弾圧する国々への監視機器の販売を禁止するべきだと提言。「民間企業に自分たちの取り締まりを期待することはできない。立法者が介入しなければならない」と述べた。

「欧州連合(EU)と米国はすでにイランとシリアへの監視技術の輸出を禁止した。この称賛すべき第一歩は、これだけで終わらせてはならない」

(c)AFP