【12月3日 AFP】米インターネット検索大手グーグル(Google)の地図サービスや衛星画像サービス「グーグルアース(Google Earth)」上には存在するものの、実在しない南太平洋の島「サンディ島(Sandy Island)」の謎を解明したと、ニュージーランドの研究者が3日、発表した。幻の島は、1876年の捕鯨船による誤認から生じたものだったという。

 コーラル海(Coral Sea)にあるこの「幻の陸地」は、グーグルの地図サービス上でサンディ島として記載されている。オーストラリアとフランス海外地域のニューカレドニアの中間ほどにある。タイムズ世界地図帳(Times Atlas of the World)もこの島を「セーブル島(Sable Island)」と表記している。

 だが前月、この海域を調査したオーストラリアの研究者は、この島を見つけることができなかったことを明らかにしていた。

■捕鯨船の誤認か、ニュージーランド研究者

 この謎に関心を持ったニュージーランド、オークランド博物館(Auckland Museum)の研究者、ショーン・ヒギンス(Shaun Higgins)氏は、この島は一度も存在したことがなく、捕鯨船の誤認が起源だと発表した。

「私の知る限り、この島は捕鯨船ベロシティ(Velocity)により記録されていた」と、ヒギンス氏はオーストラリア放送協会(ABC)ラジオで語った。当時、ベロシティの船長は「大きな波しぶき」と「砂の多い小島」を報告していたという。

「私の推測では、彼ら(ベロシティの船員)は当て推量を報告したとみられる。低地のサンゴ礁を記録したかもしれないし、サンゴ礁を見たと思い込んだのかもしれない。もしかしたら別の場所にいたかもしれない。いろんな可能性がある」(ショーン・ヒギンス氏)

「われわれの手元にあるのは当時記録された『点』のような形であり、それが長い年月の中、繰り返し複製されてきたのだろう」

■ソーシャルメディアで話題になった「幻の島」

「幻の島」のニュースは当時、ソーシャルメディアで大きな議論を呼んだ。ツイッター(Twitter)ではサンディ島がヤフー(Yahoo)やBingの地図サービスにも掲載されていると指摘があった。また、ウェブサイト「www.abovetopsecret.com」では、フランスの海図作成当局に問い合わせたところ、この島は存在せず、1979年に削除されるはずだったとの回答を得たとの投稿もあった。

 サンディ島は現在、グーグルマップからは削除されているようだ。(c)AFP