【7月26日 AFP】SF映画『マイノリティ・リポート(Minority Report)』でトム・クルーズ(Tom Cruise)演じる主人公は、手を振るジェスチャーだけで大画面に映し出された動画を次々と切り替えていく。このインターフェースの元になったソフトウエアが、現実世界で商品化された。

 このソフトウエアは、当時マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)の研究員だったジョン・アンダーコフラー(John Underkoffler)氏が同映画のために開発したもの。このほど、同氏が主任研究員を務める米ロサンゼルス(Los Angeles)の企業オブロング・インダストリーズ(Oblong Industries)によって「Gスピーク(g-speak)」の名で商品化された。

 オブロングのクウィン・クレーマー(Kwin Kramer)最高経営責任者(CEO)は、Gスピークを使えば動画など大量のデータ内を素早く検索し、必要な情報だけをふるいにかけることが可能になると説明する。また、ビデオ会議では参加者のスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット型端末の情報を1つの大画面に映し出せるので、話し合いの効率が上がるという。ビジネスに応用すれば「膨大な量のデータの共有やビジュアル化、分析がより容易になる」とも話している。

 同CEOによれば、映画そのままに異なる時間軸を自由に行き来したり、詳細なズームインができるデモ版も用意しているそうだ。

 ジェスチャーを使ったインターフェースは、米マイクロソフト(Microsoft)のゲームコントローラー「キネクト(Kinect)」など他社も開発している。だがオブロングは、自社システムは他社よりはるかに洗練されていると豪語する。システムの一部には高感度のデータグローブが使われており、手の動きを追う他のシステムより正確な操作が可能だという。

 オブロングは現在、米ボーイング(Boeing)や同ゼネラル・エレクトリック(General ElectricGE)、石油大手サウジアラムコ(Saudi Aramco)などと提携しデータ分析に協力しているほか、自動車メーカー各社とは車載コンピューターをジェスチャーで操作できるインターフェースを共同開発中だ。(c)AFP/Rob Lever