【6月27日 AFP】ハッカーの国際的なネットワーク「アノニマス(Anonymous)」が、著作物のダウンロードに刑事罰を導入する日本の改正著作権法の成立に反発して攻撃予告をした後、日本の省庁などにサイバー攻撃があり、日本政府は27日、調査を開始した。アノニマスは、さらなる攻撃を予告している。

 アノニマスの広報を名乗るサイト「anonpr.net」は声明で、著作権に保護された音楽や映画をダウンロードした人なら誰でも懲役刑を言い渡される可能性のある法律の成立により、「無数の無実の市民に不必要な懲役刑を多数言い渡すことにつながる」と批判。政府と日本レコード協会(Recording Industry Association)に警告を発していた。

 財務省によると、同省のウェブサイトは26日に攻撃を受け、サイトが一部書き換えられた。また最高裁のウェブサイトや知的財産高等裁判所のウェブサイトも深夜に一時的に接続できなくなった。財務省は、改正著作権法についてのアノニマスの声明は認識しているが、今回のサイバー攻撃とアノニマスの関連性については現時点で分かっていないと説明している。

■「プロバイダーによる監視でプライバシー侵害」とアノニマス

 先週国会で成立した改正著作権法は、違法と知りながら著作物をダウンロードした人に対して、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科す罰則が追加された。

 anonpr.netは、この改正著作権法が「著作権侵害の根本的な問題の解決にはほとんど役立たない」と批判。さらに、「コンテンツ業界は現在、日本のインターネットプロバイダーに監視技術を導入して日本国内の全ネットユーザーをスパイするよう要求している」と述べ、「これは前代未聞のやり方で、順法精神のある市民のプライバシーが大幅に制限されることになる」と非難していた。

■さらなる攻撃の予告も

 ツイッター(Twitter)では27日、アノニマスを名乗るアカウント「@op_japan」が「おはよう日本。きょうはもっと期待していてくれ!」と投稿した。

 日本レコード協会は27日、同協会のウェブサイトはこれまで攻撃を受けていないが、現在この問題を調査中だと述べている。(c)AFP