【10月31日 AFP】最新ニュースのチェックはタブレット端末の人気の利用方法だが、大半の人はニュース閲覧に料金を払いたくないと考えていることが、25日に発表された調査結果で明らかになった。デジタルニュースコンテンツの有料化で印刷媒体収益の減少を補いたいメディア会社にとっては耳の痛いニュースだ。

 米非営利調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)のメディア調査部門PEJProject for Excellence in Journalism)と、英誌エコノミスト(Economist)などを手がけるエコノミストグループ(Economist Group)は、7月15日から30日にかけて共同調査を実施した。

 それによると、現在、米成人の11%が、米アップル(Apple)の「iPad」やその他のタブレット端末を所有している。タブレット端末所有者1159人のうち、77%がタブレットを毎日利用しており、平均利用時間は1日あたり90分だった。

 またタブレット所有者のうち53%がニュースを見るためにタブレットを毎日使っているものの、有料コンテンツを直接購入したことがある人はそのうちわずか14%だった。また、印刷版の雑誌や新聞の購読料にデジタルニュースへのアクセス権が含まれる人が他に23%だった。

 ニュースを毎日見るものの、直接購入したことがない人の21%は、購読料金を支払わなければお気に入りのニュース提供元にタブレット端末でアクセスできない場合、月5ドル(約380円)なら払うと回答した。

■伸びない専用アプリの利用

「立ち上げ時には多くの人が、タブレット端末は、ニュース購読者やデジタルニュース購読の経済原則を変える役割を果たすかもしれないと信じていた。タブレット端末では専用アプリを通じて情報が消費されるだろうという予感に基づいた信念だった。専用アプリならば報道機関も課金がすることができるかもしれないと考えられていたのだ」と調査の執筆者らは指摘する。

 だが調査によると、ニュースを閲覧するのに、主にウェブブラウザを使うと回答した人は40%、ニュースアプリとウェブブラウザを同等に使うと回答した人は31%、主にアプリでニュースをチェックすると回答した人は21%だった。ニュースを見る人の3分の2がニュース用アプリをインストールしてはいるものの、実際には大半の人が普通のブラウザを使ってニュースを閲覧していることが明らかになった。

「報道機関が、インターネット全体でよりも広範な収益獲得方法をタブレット環境で発見できれば、タブレットによる情報消費の傾向にはかなり将来性がある。だがその可能性は、せいぜい『どうなるかわからない』という程度だ」と、執筆者らは述べた。

 調査の誤差はプラスマイナス3.5%。(c)AFP