【5月27日 AFP】米グーグル(Google)は26日、スマートフォン(多機能携帯電話)向けの電子決済アプリケーション「グーグル・ウォレット(Google Wallet)」を発表した。今夏にもサービスを開始するという。

 対応機種は、当面は米ワイヤレス通信大手スプリント・ネクステル(Sprint Nextel)の回線を使用するグーグルのスマートフォン「Nexus S 4G」のみだが、将来的には近距離無線通信技術「NFC」を搭載した他機種に対象を拡大する計画だ。

 NFCチップを搭載した携帯端末のユーザーは、クレジットカード情報を登録し、ておけば、会計時に携帯をリーダーに軽く触れるだけで、シティ・マスターカード(CitiMasterCard)から非接触型決済サービス「PayPass」を通じた決済が可能になる。グーグルの電子決済用システム「グーグル・プリペイド(Google Prepaid)」も利用できる。サービス開始時点で利用可能店舗は、全米12万店、世界31万店という。

 米ニューヨーク(New York)の本社で開かれた発表会見にはスプリント・ネクステルのほか、決済システムで提携するシティグループ(Citigroup)、マスターカード(MasterCard)、ファースト・データ(First Data)の関係者も同席した。

■ イーベイとペイパル、機密流用でグーグルを提訴
 
 しかし、「グーグル・ウォレット」発表からわずか数時間後、インターネット競売のイーベイ(eBay)とオンライン決済サービス「ペイパル(PayPal)」は、グーグルに転職した元社員らが携帯電話の決済システム技術に関する企業秘密をグーグルに漏らしたとして、グーグルと元社員2人をカリフォルニア(California)州サンタクララ(Santa Clara)の裁判所に提訴した。

 訴状によるとこの元社員は、グーグル携帯部門副社長のオサマ・ベディエ(Osama Bedier)氏と商取引担当副社長のステファニー・ティレニウス(Stephanie Tilenius)氏。

 ペイパルは3年間をかけてグーグルのOS「アンドロイド(Android)」を搭載したスマートフォン向けの決済システムを開発していたが、このプロジェクトに参加していたベディエ氏を、グーグルは1月に引き抜いていた。イーベイ幹部だったティレニウス氏も2009年にグーグルに移っており、ティレニウス氏がベディエ氏を引き抜いたという。

 イーベイとペイパルは、この2人が「グーグル・ウォレット」の開発において、ペイパルで取得した企業秘密を利用したと主張している。(c)AFP/ Charlotte Raab