【5月13日 AFP】米SNSフェイスブック(Facebook)が広告代理店を使い、競合する米インターネット検索大手グーグル(Google)のサービスについてプライバシー侵害だとの記事をブロガーに書かせようとしていたことが12日、明らかになった。

 最初にこの問題を取り上げたニュースサイト、デーリー・ビースト(The Daily Beast)によると、米広告代理大手バーソン・マーステラ(Burson-Marsteller)が複数のメディアに接触し、グーグルのプライバシー侵害について調査するよう促したという。批判記事を書くよう依頼されたブロガーが依頼を退け、バーソン社との電子メールのやりとりを公表したことから明るみに出た。

 この批判キャンペーンは、グーグルのサービス「Social Circle」を標的にしたもので、公表されたバーソン社のメールの1つには、「米国人はグーグルが許可なく個人生活の深い部分にまで侵入し、1分1秒ごとに情報を集め、公開していることを知るべきだ」などと記されていた。

 グーグルの「Social Circles」では、グーグルのウェブメールサービス「Gmail」のユーザーが「友達」や「友達の友達」に関する情報を閲覧することができる。これらの情報の中にはフェイスブックから集めたとみられるデータが含まれている疑いがあり、フェイスブックはこれに不快感を示していた。

 フェイスブックはAFPに対し、この問題に対処させるためバーソン社と契約したことは認めたものの、「グーグルに対する『中傷キャンペーン』は許可していないし、意図してもいなかった」と主張。謝罪する姿勢は見せていない。

 一方、バーソン社のマーク・ペン(Mark Penn)最高経営責任者(CEO)は、フェイスブックに雇われたことを認めた上で、「顧客(フェイスブック)は、誰でも入手できる情報を公開するよう依頼しただけであり、そのような情報は他のメディアによって独自かつ容易に複製されてしまうとして、顧客名を伏せるよう依頼してきた」と説明。「理由はどうあれ、このようなやり方は通常の業務手順とは全く異なる上、わが社の方針とも異なるため、このような依頼は断るべきだった」と述べた。

 フェイスブックは世界最大のソーシャルネットワークサービスで、利用者は5億人を超える。一方、グーグルはインターネット検索市場を独占している。グーグルが自社サイトからフェイスブックへの接続をさせないなど、オンライン広告やネット検索をめぐり、両社は激しい攻防戦を繰り広げている。(c)AFP/Chris Lefkow