【9月29日 AFP】ワールドワイドウェブ(World Wide WebWWW)の発明者、ティム・バーナーズ・リー(Tim Berners-Lee)氏は28日、世界各国で導入が検討されているネット接続遮断法案に警鐘を鳴らした。

 ロンドン(London)で開かれた英王立協会(Royal Society)のウェブ科学カンファレンスに出席した米マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)のバーナーズ・リー教授は「政府やインターネット接続サービス事業者(ISP)にネットから人びとを遮断する権利を与えたり、遮断することを義務づけたりする法案が相次いで作られている」と指摘した。

 フランスでは違法ダウンロードを行った利用者をネットから遮断する法律が年内に施行される。また、英国では同様の法案が4月に議会を通過した。バーナーズ・リー氏はこれらを「いまの障害」と呼び、「どこかの企業がダウンロードすべきではないと言い張るものを子どもがダウンロードしたという理由で、裁判もなしにフランスのある家庭が強制的にネットから1年間遮断されるとしたら、それは不適切な処罰だとわたしは思う」と語った。

 さらに、「もしネットが遮断されたりしたら、わたしの社会生活が損なわれる」と述べ、「医療情報へのアクセスが損なわれる人もいるかもしれない」と語った。

 また、バーナーズ・リー氏は、米上院でもウェブサイトのブラックリストを政府が作成してIPSに接続遮断を要求する法案が検討されていると指摘。人びとの生活におけるウェブの重要性を考えれば、一度は誰にも自由な世界だったネットが侵略されていることに対して、カンファレンスに集まったネットの専門家たちが行動すべきだと述べ、「われわれにはこの問題を注視する義務がある」と語った。

 また、バーナーズ・リー氏は、原則としてISPにはコンテンツに対する責任がないことを確認した上で、反テロや深刻な組織犯罪に関連する問題は例外だと述べた。(c)AFP