【7月20日 AFP】米国人マット・スチュワート(Matt Stewart)氏(31)がマイクロブログサービス「ツイッター(Twitter)」で書き上げたデビュー小説『The French Revolution(フランス革命)』がフランス革命記念日の14日、米出版社ソフト・スカル・プレス(Soft Skull Press)から出版された。
 
 自作の印刷された本を手にしたスチュワート氏は「やっぱり、紙のほうが読みやすいね。この小説が本になるまで待っていた人たちを責めることはできないよ」と語った。

 スチュワート氏がツイッターで1年前に『The French Revolution』を書き始めてから、全300ページ、約9万5000語の小説を完成させるまで4か月を費やしたという。「つぶやき」の数にすると約5000回分だ。

「140文字の字数制限のなかで書くのはきつかった。通常の小説を書くには、ツイッターが全くユーザーフレンドリーでないことが分かったよ」(スチュワート氏)

■紙とデジタルコンテンツの橋渡しを目指す

 『The French Revolution』は、サンフランシスコを舞台に激動的な運命に翻弄(ほんろう)される一族の物語をフランス革命と絡めて描いた小説。活気あふれる文体とファンタジーが融合し、随所に色っぽいユーモアもちりばめられている。地元紙サンフランシスコ・クロニクル(San Francisco Chronicle)は『The French Revolution』を、「一流の悪漢ヒーロー・コメディ」と絶賛している。

 スチュワート氏はリコー(Ricoh)の米研究開発子会社Ricoh Innovationsと共同で、米アップル(Apple)の携帯電話端末iPhone(アイフォーン)向けに、『The French Revolution』専用の無料アプリケーションを開発している。このアプリケーションをダウンロードしてiPhone付属のカメラでプリント版のページを撮影すると、プリント版には含まれていないボーナス・チャプター(章)や特典映像を楽しめるそうだ。

 ツイッターで小説を書き綴った経験を「作者と読者を結ぶ新たな手段の発見」だったと振り返るスチュワート氏は、今後もデジタル小説の執筆を続けるという。その一方で、『iPad(アイパッド)』のようなタブレット型情報端末で本を読む人はまだ少ないとも認識しており、「紙とデジタルコンテンツとの橋渡し役を目指したい」と語った。(c)AFP/Chris Lefkow