【5月26日 AFP】米ニトロPDFソフトウエア(Nitro PDF Software)は25日、無料のPDFリーダーソフト「Nitro PDF Reader」をリリースした。世界のデジタル文書フォーマットをリードするライバルのアドビシステムズ(Adobe Systems)に対抗する。

 ニトロの新リーダーはPDFファイルを読むだけでなく、注釈や書き込みを入れたり、変更を加えた後に再びPDFファイルとして保存したりできる。

 アドビが無償で提供しているPDFリーダーは広く使われているが、電子メールで受け取ったPDFファイルにデータを記入するなどといった文書に後から手を加える作業はできない。アドビは、PDF文書の作成・編集ができる有償のソフトを販売している。

「PDFファイルの利用法は進化してきたが、アドビはその進化に製品を適応させてこなかった」と、ニトロのロン・ローレンズ(Lonn Lorenz)最高製品責任者(CPO)は語る。米サンフランシスコ(San Francisco)を拠点とする同社は創業から10年。ローレンズ氏はアドビで10年ほど勤務した後、2009年にニトロのCPOに就任した。

■セキュリティーも強化

 ハッカーが攻撃の際に最もよく使うのが、PDFファイルに不正な仕掛けを施す手口だ。セキュリティー対策ソフト大手シマンテック(Symantec)によると、2009年には悪意のあるコードが埋め込まれたPDFファイルによる攻撃が急増し、同年報告されたウェブサイトを使った攻撃のうち最も多い49%を占めた。

 ニトロのPDFリーダーはセキュリティー対策として、有害サイトへのアクセス遮断、パスワードによるファイルの保護、ハッカーが攻撃に利用するJava Script機能の無効化などが可能で、アドビのPDFリーダーよりも安全性が高いとニトロではアピールしている。

 ニトロもアドビと同様に有償のPDF文書作成ソフトを販売しているが、単にPDFファイルを読んで印刷するだけ以上のことができるフリーソフトとしては今回リリースしたものが初めてだ。

 このフリーソフトを気に入るユーザーが出てくれば、そのうち1%は文書作成ができる99ドル(約8900円)のプロフェッショナル版にアップグレードしてくれるだろうとニトロでは見込んでいる。

 25日にリリースされたのは英語版のみだが、近日中に多言語版もリリースするという。英語版はニトロPDFソフトウエアのウェブサイト、「nitroreader.com」からダウンロードできる。(c)AFP/Glenn Chapman

【参考】ニトロPDFリーダーのダウンロードページ(英語)