【12月2日 AFP】米メディア大手ニューズ・コーポレーション(News Corporation)最高経営責任者(CEO)ルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏(78)は1日、低迷する新聞業界の生き残り策として、政府支援策を求めるのではなく、ネット上のニュースの有料化を購読者に納得させるべきだとの考えを示した。

 一方、政治関連ニュース・ブログサイト「ハフィントン・ポスト(Huffington Post)」の共同創設者、アリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)編集長は、マードック氏や米紙出版社が「デジタル時代を拒絶」していると批判し、「泣き言はそろそろやめましょう」と語りかけた。

 両氏は、米連邦取引委員会(Federal Trade CommissionFTC)の主催でワシントンD.C.(Washington D.C.)で開催中の「インターネット時代のジャーナリズム」を討議するワークショップで同席した。

■高品質な商品は有料化すべき

 マードック氏は、米国政府が商業ジャーナリズムに直接関与する可能性について触れ、「自由な言論を重視する人であれば身震いするようなものだ」と指摘した。

 その上で「信頼できる高品質なニュースと情報は、無料で手に入るものではない。そのことを消費者に納得させるためにも、われわれがもっとしっかりとした仕事をしなければならない」と述べた。

 ニューズ・コーポレーション傘下の新聞がウェブで提供するニュースを有料化する方針をくり返し表明してきたマードック氏は、「良質なジャーナリズムとは高価な商品なのだ。高品質なコンテンツはただでは無い」と訴えた。

 また、選別したニュースサイトを自動巡回し記事を収集する「ニュースアグリゲーター」サービスを提供するサイトについて、「1セントも支払わずにわれわれの情報を使う権利があると考えている」と批判。ニュースアグリゲーターサイトは「他人が投資を行い、苦労して得た情報をむさぼっている」として、「失礼な言い方をすれば窃盗だ」と非難した。

■無料化の流れは定着している

 ハフィントン氏は、この考えに反論し、ニュースアグリゲーターが読者を新聞サイトに誘導している面もあると述べた上で、「たいていの業界では大規模な顧客離れが起きている場合、顧客を取り戻す方法を考えるものだが、メディア業界ではアグリゲーターをコンテンツ泥棒だと糾弾することの方がお好きなようだ」と批判した。

「伝統メディアの企業はそろそろ泣き言をやめるべきだ。幅広い選択肢や視点を求めるニュース読者を否定することは短絡的であり、結局は自滅的な考えだ」(アリアナ・ハフィントン編集長)

 ハフィントン氏は「コンテンツ無料化に全く問題がないわけではない」と認めた上で、「しかし、その流れは定着しているのだし、出版社はそろそろあきらめて、その中でうまくいく方法を考えるしかないのです」と語った。(c)AFP/Chris Lefkow