【11月7日 AFP】「わたしが携帯電話で史上初のワイヤレス通話をしたのは今から30年以上前だが、以来、携帯電話にはカメラから音楽再生装置までさまざまな機能が搭載され、複雑になりすぎている」――携帯電話の開発者、マーティン・クーパー(Martin Cooper)氏(80)が4日、スペイン・マドリード(Madrid)で開かれたビジネス会議で語った。

 クーパー氏は米国シカゴ(Chicago)出身。携帯電話を最初に開発した米端末大手モトローラ(Motorola)で開発チームの主任エンジニアだった。自分たちのチームが開発した携帯電話で、同氏がニューヨーク・マンハッタン(Manhattan)の繁華街から史上初の「ワイヤレス通話」を行ったのは1973年4月3日のこと。

 初代の携帯電話は重さが1キロもあったが、わずか20分ほどの通話でバッテリー切れになった。しかし、そんなに重い電話を長時間持ってはいられなかったので、「それでちょうど良かった」とクーパー氏は振り返る。

 その後、携帯電話は急速に普及。1984年の携帯電話利用者数は世界で30万人だったが、現在では1人1台と計算して40億人を突破している。

   「われわれは携帯電話で革命を引き起こした。携帯電話が誕生するまでは『場所』に電話をかけていたが、今は『人』にかけている」とクーパー氏は話す。

 誰もが何にでも使える装置というものは一見、便利そうだが、結局はどの機能も中途半端になると指摘するクーパー氏は、「将来は、わたしたちの生活を向上させる、ある1つの機能に特化した専門的な装置が数多く使用されるようになると思う」と語った。(c)AFP