【10月18日 AFP】独フランクフルト(Frankfurt)で開催された世界有数の書籍見本市「第61回フランクフルト国際ブックフェア(Frankfurt Book Fair)」で、米インターネット検索大手グーグル(Google)の「書籍電子化計画」に対して激しい非難が浴びせられた。

 グーグルは、現在では閲覧が困難だったり、不可能な書籍数百万冊をデジタル化し、世界中からオンラインで閲覧可能にするという壮大な計画を進めている。 
 
 ところが、フェア中に行われた公開討論会のひとつで、専門家らはこの計画を厳しく批判した。その1人、ドイツ・ハイデルベルグ大学(Heidelberg University)のローランド・ルス(Roland Reuss)文学教授は、「すべて滑稽なプロパガンダだ。ただのゴミでしかない」と激しく攻撃した。さらに「グーグルは書籍市場に革命を起こしているが、それは出版社を抹殺するという犠牲をもたらすものだ」と述べて、グーグルの計画は業界の脅威となると指摘した。

 一方、英グーグルのプリント・コンテンツ・パートナーシップ部門責任者、サンティアゴ・デ・ラ・モーラ(Santiago de la Mora)氏はこうした意見に対し、次のように反論した。「わが社は世界が抱える大問題のひとつを解決しようとしている。見つけ出されることなく埋もれ、『死んだも同然』の状態の書籍があるという問題だ。命を失った書籍をよみがえらせ、全世界のインターネットユーザー18億人が容易に閲覧できるよう、きちんと管理された方法で提供している」

 スキャンなどによる書籍のデジタル化の自体は物珍しくはなくなっているが、出版業界はグーグルの書籍電子化計画が出版界をよしにつけ悪しきにつけ大きく変えるとみていると、専門家らは話す。

 世界最大規模の書籍見本市であるフランクフルト国際ブックフェアで、今年注目を集めたもう1つの話題は、「電子ブックリーダー」だ。電子書籍をインターネット経由でダウンロード購入して閲覧できるこの電子末端は、今年のクリスマスシーズンには人気ギフト商品として売上増が期待されている。(c)AFP/William Ickes