【7月27日 AFP】豪メルボルン(Melbourne)で24日開幕した「メルボルン国際映画祭(Melbourne International Film Festival)」のウェブサイトが25日、中国のIPアドレスからとみられるハッカー攻撃を受けた。豪エイジ(Age)紙が26日、報じた。

 同紙によると、映画祭のサイトが改変され、掲載されていた映画情報が、中国国旗や亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議(World Uighur Congress)」のラビア・カーディル(Rebiya Kadeer)主席を批判するスローガンに置き換えられていたという。26日現在、ウェブサイトは通常の状態に戻っている。

■中国人監督が出品辞退

 メルボルン国際映画祭では、来月8日にカーディル氏を招いて、オーストラリア人のジェフ・ダニエルズ(Jeff Daniels)監督による同氏のドキュメンタリー映画『Ten Conditions of Love』が上映される予定になっている。

 この映画をめぐって、ジャ・ジャンクー(賈樟柯、Jia Zhangke)監督ら中国人監督2人が前週、同映画祭への出品を辞退していた。監督の1人は、中国政府当局者からの求めに応じ辞退を決めたと語っているが、その際に当局からの圧力はなく、自分自身で決断したと強調している。

■関係者に嫌がらせメールも

 映画祭組織委員長のリチャード・ムーア(Richard Moore)氏は、カーディル氏に関する映画の上映を中止するよう、中国当局から圧力があったと批判している。

 エイジ紙によると、映画祭関係者のもとには、ムーア氏が映画上映とカーディル氏の招待の中止を拒否したことを罵倒する内容の電子メールが届いたという。ムーア氏は同紙に対し、「非常に不快な言葉が使われていた。明らかに、われわれが中国政府の要請を拒否したことに対する組織的な運動だ」と話した。

 ウェブ攻撃については地元警察が捜査を始めており、問題の映画が来月上映される際には、カーディル氏と来場者を守るため警備員を配置するという。

 中国政府はカーディル氏を、5日に新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で発生した大規模暴動の首謀者だとして非難している。カーディル氏自身は、関与を否定している。(c)AFP