【6月18日 AFP】大統領選の開票結果をめぐるイラン改革派の抗議デモで、当局の検閲をかいくぐってデモや弾圧の様子を伝えるニュースや写真、動画をインターネット配信する手助けをしようと、世界各地のネットユーザーがさまざまな試みを行っている。

 イラン当局は携帯電話やインターネットの接続を遮断する措置を取っているが、マイクロブログサービス「ツイッター(Twitter)」やSNSサイト「フェースブック(Facebook)」、動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」や写真共有サイト「フリッカー(Flickr)」には、17日も抗議デモの写真や動画の投稿が相次いだ。

■プロキシでアクセス制限を回避

 ネットユーザーらは、イラン国内の投稿者が当局のアクセス制限を回避できるよう、いくつもの「プロキシサーバー」を設置するという作戦に出ている。

「プロキシを経由するとツイッターなどのウェブサイトへのアクセス経路が変わるため、プロキシを特定しない限り当局にはアクセスを阻止できない」と、米国のITコンサルタント、Nitin Borwankar氏は話す。「(プロキシの特定は)干し草の山の中の1本の針を探すより難しい。ネットユーザーたちはどんどん設置している」

 当局が対抗しようにも、すべての衛星通信・電話サービスを止めるわけにはいかない、と同氏。そんなことをすれば軍や警察も動けなくなってしまうからだ。

■「なりすまし」で投稿者を保護、ハッカーも協力

 ツイッターのユーザーの中には、時間や場所の設定を変えてテヘラン(Tehran)から投稿しているように見せかけ、実際にイラン国内から発信している人の特定を難しくして当局の捜査をかく乱しようとする人たちも多い。

 また、ハッカーたちも改革派に味方しているようだ。ある米国在住のイラン人ブロガーによると、改革派と政府とのサイバーバトルが過熱する中、ハッカーたちが改革派のユーザーに当局のフィルタリングを突破したり、マフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領支持派のウェブサイトにDoS(サービス妨害)攻撃を仕掛けることのできるソフトウェアを配布しているという。(c)AFP/Glenn Chapman