【6月15日 AFP】中国政府が7月1日から出荷される全てのコンピューターにプリインストールか添付を義務付けているフィルタリングソフトウェアに、重大な脆弱性があることが分かった。米ミシガン大(University of Michigan)の研究者らの指摘を、制作会社が15日、認めた。

 中国政府は、有害なポルノサイトから若者を保護するために不可欠として、7月1日以降に出荷する全コンピューターにフィルタリングソフト「Green Dam Youth Escort」のプリインストールか、付属ディスクの同梱をメーカーに義務付けている。

 しかし前週、ミシガン大の研究者らは同ソフトに、第三者が遠隔操作でコンピューターを操作する危険を招く深刻な脆弱性があると指摘した。

 これについて、ソフトを制作したJinhui Computer System EngineeringBryan Zhang社長は、脆弱性の存在を認め、現在問題の修正に務めていると話した。ただ、「どんなソフトにもバグはあるもの」として、特別な問題ではないとの見方を示している。

 ミシガン大の研究チームはまた、このソフトには卑わいな言葉のほか、中国政府が政治的に好ましくないとする単語をブロックするフィルタリング機能が含まれているとも指摘している。

 フィルタリングソフトの義務付けをめぐっては、国外のみならず中国国内からも、検閲であり、個人のプライバシーを一括管理するのが目的だとの批判が高まっている。前週実施されたオンライン世論調査では、81%がプライバシーの危機を感じると答えた。また、ソフトには有害サイトから若者を保護する効果はないと考える人も72%に上った。

 中国の工業情報省は、利用者は必ずしも同ソフトを使用する義務はないとしている。(c)AFP