【10月3日 AFP】(一部更新)米ネットオークション大手イーベイ(eBay)傘下のスカイプ(Skype)は2日、中国の合弁事業相手のTOM Onlineが、中国国内のユーザーがチャットなどでやりとりした政治的な内容のテキストメッセージを同社のサーバーに保存していたことを明らかにした。スカイプ側はこの事実について知らなかったとしている。

 この問題は1日、トロント大学(University of Toronto)のコンピューター・セキュリティ専門家グループ「Citizen Lab」が、TOM Onlineが中国国内のTOM-Skypeユーザーを密かに監視し、特定のキーワードに関するテキストメッセージを収集していたことを明らかにしたことで発覚した。

 Citizen Labによると、収集・保存されていたのは「チベット(Tibet)」や「共産党」「民主主義」などのキーワードが含まれるメッセージで、インターネットアドレスやユーザー名など送信者と受信者が容易に特定できる情報が含まれていたという。

 スカイプのトップを務めるジョシュ・シルバーマン(Josh Silverman)氏は声明を発表し、TOM Onlineは「ほかの中国の通信企業と同様に、同国の法律・規則に沿った手続きをとっただけ」と釈明。「こうした規則の中には、当局が『攻撃的』と見なす特定の言葉を含んだテキストメッセージの監視・阻止を要求するものもある」と述べた。

 中国のインターネット事情をめぐっては、米ソフトウエア大手マイクロソフト(Microsoft)やシスコシステムズ(Cisco Systems)、同インターネット検索大手のグーグル(Google)やヤフー(Yahoo)など多くの米企業が、いわゆるグレート・ファイアウォール・オブ・チャイナ(Great Firewall of China:万里の長城「Great Wall of China」をもじったもの)と呼ばれる当局の検閲に協力したとして非難されており、議会に召喚された企業もある。

 特にヤフーは、2005年に国家機密漏えい罪で懲役10年の有罪判決を受けた中国人ジャーナリスト、師濤(Shi Tao)氏の電子メールアカウントなどの情報を中国当局に提供していたとして、大きな非難を受けている。

■監視されていたキーワード

 以下は、トロント大学(University of Toronto)のコンピューター・セキュリティ専門家グループ「Citizen Lab」が指摘する、監視対象となる語句のリスト。

・共産党員
・共産党
・法輪功(Falun Gong
・胡錦濤(Hu Jintao
・台湾独立
・スカイプ(Skype
・温家宝(Wen Jiabao
・脱党する
・江沢民(Jiang Zemin
・7月4日
・五輪
・九評共産党(共産党に対する九つの評論)
・洪志大(Li Hongzhi
・地震
・民主主義
・チベット(Tibet
・毛沢東(Mao Zedong
・迂回
・鄧小平(Deng Xiaoping
・魚釣島(Diaoyu Islands
・中国国民党
・天安門(Tiananmen
・粉ミルク
・SARS(重症急性呼吸器症候群)
・ボイス・オブ・アメリカ(Voice of America

(c)AFP/Chris Lefkow