【8月28日 AFP】英国で発売された1台の米アップル(Apple)の携帯電話端末「iPhone」のメモリー内に、笑顔でピースサインをする中国人女性の写真が偶然保存されており、話題になっている。

 iPhoneの組み立てを行っている、台湾の鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry、通称フォックスコン、Foxconn)の広報担当者は27日、AFPに対し、この女性が中国・広東(Guangdong)省深セン(Shenzhen)にある工場の作業員であることを明らかにするとともに、品質検査を担当する同僚が写真を撮影し、その後消去するのを忘れたのだろうとの見方を示した。

 写真が保存されたiPhoneはそのまま英国に送られ販売された。その後、購入した人がインターネット上に投稿したことがこの騒ぎの発端となった。これまでのところ、彼女の写真が保存されていた製品はこの1つだけだという。このiPhoneを購入したのは、「Mark M」と名乗る英国人で、写真をウェブサイトMacRumors.comなどに投稿したという。その後、さまざまな掲示板などで大きな話題となっている。

 広報担当者はこの女性は、自分の写真が複数のウェブサイトや新聞などに掲載されて突然注目を浴びたため、動揺しているという。また、工場幹部らは女性に対し、規則を破ったわけではないのでクビにすることはないと伝えたという。工場側は、女性の詳細について公表することはないとしている。

 広報担当者は「小さなミスは避けられないものです。わたしはこのミスを『美しいミス』と呼ぶことにします」と語った。工場側は、アップルは今回の件に関して非常に理解を示してくれたとしており、今後の再発防止に努めていくとしている。

 一方で、こうした動きを残念に思う人びともいるようだ。ある人物は、インターネット上の掲示板の書き込みで、「iPhoneを製造するすべての中国人労働者が、自分や同僚などの写真を撮ってくれたら、ぼくらは会うはずもなかった人と会えることになるんだよ。これぞまさに、グローバリゼーションじゃないか」と主張している。(c)AFP