【8月22日 AFP】半導体大手の米インテル(Intel)は21日、サンフランシスコ(San Francisco)で行われた同社主催の年次開発者フォーラムで、開発中の「ワイヤレス電源」の研究成果を公開した。

 このシステムを使用することで変圧器やコンセントなしでデバイス操作が可能となることから、現在の生活スタイルに革命を起こす可能性もあると、専門家らは指摘している。

 同社のジャスティン・ラットナー(Justin Rattner)最高技術責任者(CTO)はフォーラムで、「Wireless Energy Resonant Link」と呼ばれるワイヤレス電源システムを使い、舞台上に設置された60ワットのランプを点灯するというデモンストレーションを行った。60ワットは、通常のノート型パソコンが要する以上の電力だ。

 このシステムが特に優れている点は、電力が送電装置と受電装置の間にある物や人に影響することなく、安全に効率よく使えるということだ。同社の研究員、ジョシュ・スミス(Josh Smith)氏は、「人体は磁場ではなく電場に影響される。だから電場ではなく磁場を利用して送電している」と説明している。

 この新システムを空港やオフィスなどの建物に設置すれば、ノート型パソコンや携帯電話、また建物内に設置されている機器に電力を送ることが可能だ。

 また、現在プラグ接続が必要なモニターなどのコンピューター周辺機器にこのシステムを組み込み、机上の、または室内を持ち運ぶことがある機器に電力を送れるという。

 このワイヤレス電源について、米調査会社エンダール・グループ(Enderle Group)の首席アナリスト、ロブ・エンダール(Rob Enderle)氏は、「このシステムが普及すれば、まず充電器がなくなっていき、最後はバッテリーが不要になっていくだろう」と指摘している。

 ただし、インテル研究員のスミス氏によると、この新システムはまだ開発の初期段階で、一般商品化されるまでにはさらに多くの研究が必要だという。ラットナーCTOも、2050年までの技術変革を期待していると述べた。(c)AFP