【9月24日 AFP】セルビアの首都ベオグラード(Belgrade)の北方42キロメートルに位置する小さな町IndjijaGoran Jesic町長(33)は24日、同地へのITパーク建設をめぐりインドの不動産開発業者と予備契約を締結する。投資で数々の成功を収めたことで知られるJesic町長が、すでに「経済的な奇跡」としてもてはやされているIndjijaに新たな勝利をもたらした。

 Jesic町長は、ITパーク建設計画が、国全体の経済を押し上げ、紛争によって損なわれたイメージを回復することにつながり、若者に向けセルビアに将来性があると訴える一助にもなる、と自信をにじませる。

 同町長がAFPに対して語ったところによると、インドのシリコンバレー(Silicon Valley)、バンガロール(Bangalore)に拠点を構える不動産開発業者Embassy Groupとの予備契約の締結は、24日に予定されているという。

 Jesic町長は「対象となるのは200ヘクタールで、第1段階はインフラや土地を除いて2500万ユーロ(約40億6000万円)です。すべてが順調であれば、Embassy Groupは2008年からの第2、第3、第4段階の開発への出資を望んでいます。潜在的な価値は2億ユーロから2億5000万ユーロ(約325億円から約406億円)に上ります」と語っている。

 ばく大な金額をもたらす取引の成立は、Indjijaにとっては偉業だ。

 Jesic町長によると、セルビアでは、旧ユーゴスラビアの崩壊とともに高学歴の若者30万人が国外へ流出したという。同町長は「このプロジェクトがもたらす成果は、われわれの国にとって最も重要なものになるでしょう。マイクロソフト(Microsoft)やIBMといった世界の大手企業がセルビアで事業を行う可能性があるからです。優秀な人材も国を去らなくなるでしょう」と語る。
 
 同町長によると、今回の投資は「技術サービスを、コストが上昇しているインドの企業に外部委託する代わりに、西欧諸国の顧客により近いところで行う」という世界的IT企業の戦略の流れに乗ったものだという。(c)AFP/David Vujanovic