【9月15日 AFP】ケニア政府と国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)は11日、水が少なく住民も貧しいケニア北部トゥルカナ(Turkana)地方で、膨大な量の地下水を発見したと発表した。帯水層(地下水で飽和した透水性のある岩石や沈泥の地層)が2か所で発見されたとしている。
 
 発見は最先端の衛星探査技術を利用して行われ、UNESCOが掘削を支援した。世界有数の乾燥地帯の住民約50万人の生活を一変させる可能性がある科学技術の成果だと歓迎されている。現地は2年前に壊滅的な干ばつに見舞われ、人道支援関係者はこれが原因で栄養失調率が37%に上昇したと指摘した。

 水資源探査を実施した資源探査企業、レーダー・テクノロジーズ・インターナショナル(Radar Technologies InternationalRTI)は、一帯の地下水埋蔵量が少なくとも2500億立方メートル、年間補給ペースがオーストリアの水需要とほぼ同じ34億立方メートルに上るとの推計を示している。

 RTIのアラン・ガシェ(Alain Gachet)社長はAFPに対し、「度重なる干ばつで何千頭もの家畜が死亡したが、こうした事態は今後起こらないだろう」と語り、「われわれはケニアの飲料水の資源量を2倍に引き上げた。女性が10~20キロも歩いて水くみに行かざるを得ないことが多いことを踏まえると、必要性は極めて大きい」と付け加えた。

 生活に適さない砂漠さながらのトゥルカナ地方は、ウガンダや南スーダン、エチオピアとの国境に近く、ケニア国内で最も所得水準が低い。住民はほぼ遊牧生活を余儀なくされ、立場の弱さはアフリカ有数とされている。また、一帯では家畜の放牧地をめぐる衝突が頻発しており、互いに対立する集団が銃で武装している場合も多い。

 ケニアの人口4100万人余りのうち、1700万人は飲用に適した安全な水を調達できず、2800万人は適切な公衆衛生を欠いた生活環境に置かれている。

 同国北部には、南北250キロ、東西が最大60キロで世界最大の砂漠湖トゥルカナ湖(Lake Turkana)がある。ただ、ヒスイのような深緑色で知られる湖水は、同湖に流れ込んでいる川に隣国エチオピアが水力発電用のダムを建設する影響で、失われる危機にさらされている。

 また、トゥルカナ地方では石油の試掘も行われている。(c)AFP/Aude GENET