【8月15日 AFP】二酸化炭素(CO2)の排出量に関係なく、気候変動がもたらす熱波は今後30年間でいっそう厳しく、頻繁に起きるようになるとの予測が15日、英学術誌「エンバイロメンタル・リサーチ・レターズ(Environmental Research Letters)」に発表された。もっとも気候パターンが一定になるか、さらに悪化するかは、現在設定されている温室効果ガス排出削減目標によって決まるとしている。

 過去10年間の高気温や熱波については、この50年間に起きた気候変動が原因との見方が一般的だ。今回発表された研究によれば、地球の気温は温暖化によって過去50年で約0.5度上昇しており、21世紀も同じペースで温暖化が進んだ場合、高温や熱波はさらに厳しく、頻繁になるという。

 2012年の米国や2009年の豪州を襲ったような酷暑をもたらす熱波を、気象学では「3シグマ」の気象現象と呼んでいるが、気候モデリングに基づいた今回の研究では、この3シグマの気象現象が2020年には現在の2倍にあたる地球上の全陸地の約10%に影響を及ぼすと予測している。また2040年には、影響の範囲は40%に及ぶという。

■より深刻な酷暑も

 さらに、現在は基本的に存在していない「5シグマ」のより深刻な夏の酷暑が、2040年には地表の約3%を覆うようになると指摘している。

 同誌を発行する英国物理学会(Institute of PhysicsIOP)は、声明で「21世紀の最初の半世紀において、これらの予測は大気中に排出されるCO2の量に関係なく現実のものとなるだろう」と述べた。

 その一方で、2040年以降に何が起きるかは、現在の人類の決定に左右される余地があるとも指摘。「排出量が少なければ、異常気象の発生数は2040年までにほぼ一定になるが、排出量が多ければ異常気象の影響を受ける陸地は年々1%ずつ増え」、2100年までには3シグマの熱波の影響が地球の全陸地の85%に、5シグマの影響が約60%に及ぶだろうと予測している。

 国連加盟国は地球の年平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度以内に抑える目標を採用しており、2020年に発効する新たな炭素排出削減目標に関する協定を2015年に調印するため協議を続けている。(c)AFP