【8月7日 AFP】2012年は、過去最大量の北極海氷が失われ、化石燃料の燃焼による二酸化炭素(CO2)の排出量も過去最高に達したとする米国と英国の合同チームの報告書が、6日に米気象学会紀要(Bulletin of the American Meteorological Society)で発表された。

 米海洋大気局(National Oceanographic and Atmospheric AdministrationNOAA)などの研究者らがまとめた年次報告書「気候の状態(State of the Climate)」によると、2012年の世界の陸地温度と地表面温度は、近代観測史上での上位10位に入ったという。

 専門家らによる査読を経て発表された今回の報告書は、気温上昇の原因には言及していないが、各国の政策立案者にとっては、海面上昇と気候温暖化の進行が地域社会とインフラに与える影響に備えるための指針として機能するはずだと、専門家らは述べている。

 また今回の報告書は、記録的な事象が頻発する北極地方などの地域での「新たな標準」を示すものだ。北極地方では、表面温度が世界の他の地域をしのぐ速度で上昇している。

 米国の著名な気候学者で、今回の研究には参加していない米ペンシルベニア州立大学(Pennsylvania State University)のマイケル・マン(Michael Mann)氏は「この報告書を読むと、温暖化ガスの排出を削減する取り組みが、かつてないほどの急務となっているとの結論に達せざるを得ない」と語る。

 今回の研究で引用されている4件の独立した分析結果によると、2012年の世界の気温は、「1800年代半ばから後半に記録が開始されて以来最も高かった上位8位か9位に入る」という。「データセットにより異なるが、2012年は、1981~2010年の平均を0.14~0.17度上回った」と報告書は述べている。

 北極海氷の量に関しては、9月にこれまでの最低記録が更新され、北半球の積雪量についても史上最低が記録されたという。氷の融解は、海面上昇の一因にもなっている。2012年には、世界の海水位の平均は過去最高に達し、1993~2010年の平均を3.5センチ上回った。

 また、世界的な金融危機以降の数年はわずかな減少を示していた化石燃料の燃焼によるCO2排出量も、2012年は最高記録を更新した。「2012年春に史上初めて、13の観測地点中の7か所で、大気中のCO2濃度が400ppmを超えた」と報告書は述べている。CO2の世界平均濃度は、前年比2.1 ppm増の392.6 ppmに達したという。(c)AFP/Kerry SHERIDAN