【7月24日 AFP】欧州環境庁(European Environment AgencyEEA)は22日、欧州に生息する主要な草原性チョウのうち半数以上の種で個体数が急減しており、その原因は生息地の消滅であると警告した。

 欧州環境庁は、「チョウの個体数は約50%減少しており、草原の生物多様性が大幅に低下していることを示している」と述べた。

 欧州環境庁は1990~2011年にかけて欧州の19か国で17種の草原性チョウを調査。結果、8種で個体数が減少し、2種は変化がなかったものの、増加したのは1種類だった。その他6種については明確な傾向が示されなかった。

 報告書は、原因として集約農業を指摘。穀物の単一栽培と農薬の使用が生物多様性を破壊していると説明している。そのほか、特に欧州東部、南部に広がる山岳地帯や湿地帯の牧草地の放棄も一因だという。放棄された土地は急速に雑木が成長し、森林に覆われてしまうため、チョウが生存のために依存する植物が育たなくなってしまうのだ。

 チョウは植物の授粉に大きな役割を果たすことから、環境の健康度を示すものとされる。欧州環境庁のHans Bruyninckx事務局長は、「草原性チョウの大幅な減少は、警鐘と捉えるべきだ」として、「欧州の草原性チョウの生息地は全体として減少している。生息地を維持できなければ、これらの種の多くを永遠に失ってしまう可能性がある」と警告した。(c)AFP