【7月17日 AFP】ニュージーランド政府は17日、同国の南島(South Island)で世界遺産に指定されている地域に全長11キロのトンネルを建設する計画を、環境への影響が大きすぎるとして却下した。

 トンネル建設会社「ミルフォード・ダート(Milford Dart)」が申請したのは、クイーンズタウン(Queenstown)のスキー場から、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産に登録されているフィヨルド「ミルフォードサウンド(Milford Sound)」をつなぐルート上のトンネル建設計画で、バスや自動車で観光客を輸送する時間の短縮を目的としていた。

 しかし同国のニック・スミス(Nick Smith)環境相は、環境と安全の観点からこの申請を却下。「国立公園は特別な場所であり、アスパイアリング山(Mount Aspiring)とフィヨルドランド(Fiordland)国立公園のような絶景はほとんどない」と報道陣に語った。

 スミス環境相は、トンネルを建設した場合に国立公園内に捨てられるがれきの量が50万トンに上るとし、ニュージーランドで最も有名なハイキングコース「ルートバーントラック(Routeburn Track)」を破壊することになると説明した。またこれだけ長いトンネルが、申請された予算1億4200万ドル(約140億円)だけで完成できるかという点にも疑問を呈した。

 計画に反対していた環境活動家らはこの決定を歓迎している。(c)AFP