【7月2日 AFP】気候変動によって穀物収穫量、水、生態系、健康のうち少なくとも2つの分野が打撃を受ける場所に、世界に暮らす10人に1人が住むようになるという国際的な研究結果が1日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 同研究によると、こうしたいわゆる「気候変動のホットスポット」が最も広がると予測されるのは南米のアマゾン(Amazon)南部で、水の供給、農作物の生産、生態系に「過酷な変化」をもたらす。また2番目に大きなホットスポットは南欧で、水不足と穀物の不作により人口に打撃を与える可能性があるという。

 この研究を行った独・気候変動ポツダム研究所(Potsdam Institute for Climate Impact ResearchPIK)のフランツィスカ・ピオンテック(Franziska Piontek)氏は「気候変動によるさまざまな分野への影響が相互に重なれば、それらが作用し合い、影響を受ける地域に住む人々の暮らしに何倍もの圧力となってのしかかるだろう」と話す。

 研究には日本、米国、中国、欧州の他、気候変動による影響を研究するさまざまな国の科学者が参加し、数学的モデルを使ったプログラムを使用して、地球温暖化が世界中の人々にもたらす影響を予想した。

 異なる進行度の温暖化を分析した結果、世界の平均気温が1980~2010年までの平均気温よりも3度上昇した時点で、複数の分野で影響が相互に重なる傾向が「顕著に」現れ始めたという。

 また平均気温が1980~2010年までの値よりも4度上昇した場合、世界人口の11%は、影響を受ける4つの分野のうち少なくとも2つの分野で、大きな打撃を受けるだろうと研究者らは警告している。(c)AFP