【6月10日 AFP】二酸化炭素排出量の増加により、インド、中国、東南アジア、東アフリカ、アンデス地方北部の一部地域で大規模な洪水が発生する危険性が高まるとの研究を、東京大学(University of Tokyo)の平林由希子(Yukiko Hirabayashi)准教授率いる研究チームが、9日の英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に発表した。地球温暖化により、これらの地域における大規模洪水の頻度が増加するという。

 推計は、温室効果ガス排出量とそれが2100年までに29の河川に及ぼす影響についての11モデルに基づいて計算された。

 最も極端な推計──気温が4~5度上昇した場合──では、20世紀に統計的に100年に1度の頻度で発生した規模の洪水が、最もリスクにさらされる場所において10~50年に1度の頻度で発生する可能性があると推定された。

 今回の研究は、温暖化した世界において、どこで洪水が発生しうるかを高い精度で推計する野心的な試みだ。過去の研究は1つないし数種類のモデルしか使っていないため、不確実性の幅が非常に広かった。

 国連加盟各国は、産業革命以前からの地球の気温上昇を2度以内に抑えると合意した。だが現状の二酸化炭素濃度の増加は2100年までに4~5度の気温上昇をもたらす水準で推移しており、多くの科学者らが、生態系に壊滅的な影響を及ぼし、数億人が食糧不足や異常気象、海面上昇の危機にさらされることになると警告している。(c)AFP