【4月30日 AFP】自然保護団体および活動家らが28日、世界遺産(World Heritage Sites)に登録されている世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)を大規模な産業開発から守るための取り組みがなされていないとして、オーストラリア政府を非難すると同時に、注意を促す大規模なキャンペーンを開始した。

 このキャンペーンは、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)が豪政府に対し、天然ガスや鉱物開発などからグレートバリアリーフを守るための断固たる対応を取らなければ、「危機遺産リスト」に登録されることもあり得るとしたことを受け始まった。

 豪政府は、グレートバリアリーフ(を守ること)に「全力を注ぐ」として、2月には管理および保護の強化計画の概要をユネスコに提示していた。ユネスコの世界遺産委員会(World Heritage Committee)は、カンボジアの首都プノンペン(Phnom Penh)で6月に開催予定の年次総会で対応を検討する。

 ユネスコの年次総会と、オーストラリアで9月に予定されている総選挙を見据え、豪海洋保護協会(Marine Conservation SocietyMCS)と世界自然保護基金(WWF)オーストラリア支部は、増加の一途をたどる「グレート・バリア・リーフ海洋公園での浚渫工事、(ゴミなどの)投棄、輸送船の航行」の現状に注意を促すことを目的としたキャンペーンを開始した。

 オーストラリアでは現在、アジア地域からの需要急増による資源開発への投資が盛んとなっており、数千億ドル規模の資源開発プロジェクトが進行中だ。ユネスコは昨年、同国の液化天然ガス、観光、採鉱などを含む膨大な数と規模のプロジェクト計画について、グレートバリアリーフの状態が脅かされる恐れがあると警告した。

 MCSのフェリシティ・ウィシャート(Felicity Wishart)氏は、クイーンズランド(Queensland)州政府がグレートバリアリーフ沿岸でのメガポート建設を急ピッチで進めており、また浚渫工事による数百万トンの土石を同海域に投棄する計画も立てていると述べた。

 同氏は「2012年にこの海域に投棄された土砂の量は50万トン未満だったが、2015年には2350万トン、約50倍の量に増加することが予想されている」と述べ、また「グレートバリアリーフは年間60億ドルの利益を生み、6万人の職を支える重要な観光地だ。地球の反対側まで巨大な工業港湾を見に来たいと思う人は誰もいないだろう」と語った。

 WWFが最近実施した世論調査によると、オーストラリア国民の91%は、グレートバリアリーフの保護を2013年の最も重要な環境問題と見なしていることが明らかになったという。(c)AFP