【3月20日 AFP】世界自然保護基金(World Wildlife Fund for NatureWWF)は19日、チャド南部の町ガンバ(Ganba)の近くで先週、1晩でゾウ89頭が密猟団によって殺されたと発表した。

 WWFが地元当局の話として伝えたところによると、先週14日夜、馬に乗ったアラビア語を話す密猟者約50人が、このゾウの大量殺害を行ったという。殺されたゾウの中には、妊娠中の雌ゾウ33頭と子ゾウ15頭が含まれていたという。WWFによると、この密猟団の活動を阻止するためにチャド軍が派遣されたという。

 WWFがこの地域で行っている、野生動物不正取引に対する反対運動の代表を務めるBas Huijbregts氏は、「この悲劇によってまたもや、アフリカ中央部のゾウが今直面している脅威が浮き彫りになった」と言う。「これは恐らく、2012年2月にカメルーン北部でゾウ300頭余りを殺したスーダン人グループの仕業に違いない。カメルーン政府はこの時、地域の残りのゾウを保護するために特殊部隊を動員することになった」

 アフリカ中央部で活動する密猟団は、広大な無人地域と穴だらけの国境を抜けて、国から国へと渡り歩いている。WWFは、象牙の密売がさまざまな武装集団の資金源になっていると見ている。

 複数のNGOによると、アジアの闇市場では、象牙は現在2000ドル(約19万円)超で取引されているという。(c)AFP