【1月30日 AFP】ボルネオ(Borneo)島東部のマレーシア・サバ(Sabah)州で今月、絶滅が危惧されるボルネオゾウ10頭の死骸が発見された。当局は29日、毒殺の可能性があると発表した。

 同州の野生動物保護当局は、警察と世界自然保護基金(World Wildlife Fund for NatureWWF)とともに特別捜査班を作り、調査にあたっている。グヌンラヤ森林保護区では23日、4頭の死骸があるとの報告を受け、2日間にわたり調査を行ったところ、さらに4頭の死骸もしくは死にかけているゾウを発見した。この近くでは今月初め、腐敗が進んだ2頭の死骸が発見されていた。

■死んだ母親を起こそうとする子ゾウ

 野生動物保護当局の獣医、セン・ネイサン(Sen Nathan)氏の話では、消化管に重度の潰瘍と出血が見られたことから、ゾウが毒殺された可能性が非常に高いという。「死んだゾウを見るのは本当に悲しかった。特に、生後3か月ほどとみられる子ゾウが死んだ母親を起こそうとしていたのは見るのがつらかった」と同氏は話した。

 サバ州のマシディ・マンジュン(Masidi Manjun)環境相は、「ゾウが故意に毒殺されたとすれば、犯人は裁きを受け、罪を償うべきだ」と語った。

 ボルネオゾウは通常のアジアゾウよりも小さく丸みを帯びた体が特徴。野生のボルネオゾウの生息数は2000頭に満たない。活動家は、森林伐採や人間の侵入により、ボルネオ島で生息環境が激減していることに注意を促している。 (c)AFP