【10月1日 AFP】大きな切り身を揚げた魚フライ――そんなボリュームたっぷりの魚料理を食卓で目にする機会は今後、少なくなりそうだ。乱獲によって魚の個体数が減っているからだけではない。地球温暖化によって魚の大きさが小さくなっているとの米加チームによる研究論文が9月30日、英科学誌「ネイチャー・クライメートチェンジ(Nature Climate Change)」オンライン版に掲載された。

 研究チームはコンピューターモデルを用いて、600種あまりの魚類に海水温の上昇が与える影響を調べた。海水温が高いほど、海中の酸素量は少なくなる。その結果、成魚になったときの最大体重が2050年まででは2000年と比較して14~24%減少する見込みであることが分かった。

 温暖化の影響が最も大きいのは熱帯海域にあるインド洋(Indian Ocean)の魚で、体重減少率は24%と予測された。大西洋(Atlantic Ocean)が同20%で続き、太平洋(Pacific Ocean)は同14%となっている。

 論文主筆者の1人で、30年も前に温暖化が魚の成長に及ぼす影響を指摘していた加ブリティッシュ・コロンビア大学(University of British Columbia)のダニエル・ポーリー(Daniel Pauly)氏は、「魚は成長するために継続的に海水から酸素を得る必要があるが、状況は悪化している」と危惧する。特に大きな魚ほど多くの酸素を必要とするため、大型の魚が将来、体の成長を止めてしまう可能性もあると、ポーリー氏は予測している。(c)AFP