【8月22日 AFP】地球の気温上昇に伴って北極の海氷が急速に溶解しており、数週間以内に史上最小水準に縮小する可能性があることが、21日の米研究者らの発表で明らかになった。

 米コロラド大学ボルダー校(University of Colorado at Boulder)の研究者らによれば、夏の溶解期はまだ終わっていないのにもかかわらず、北極の海氷は既に史上最小水準に縮小しつつあるという。同大学雪氷データセンター(National Snow and Ice Data CenterNSIDC)のマーク・セリーズ(Mark Serreze)所長はAFPに対し、「出てきた数字を見て、われわれも驚いている」と語った。

「もし溶解が今日突然止まれば、衛星観測史上3番目の小ささになる。溶解期はまだ2週間残っているので、最小記録を更新する可能性は非常に高い」(セリーズ所長)

 これまでの最小記録は海氷が425万平方キロにまで縮小した2007年のもので、当時の科学者らは急激な溶解がこれほど早く起きたことに衝撃を受けた。

 NSIDCは今年の溶解の要因の1つとして今月発生した北極低気圧が影響した可能性もあるとしているが、セリーズ所長は低気圧の影響はあまり大きくなかったとみており、今年は2007年に見られたような特別な気象要因がないため、今回の急激な海氷溶解は大いに注目すべき現象だと話している。

 セリーズ所長の見解によれば今年の溶解現象は地球温暖化の影響と一致しており、気温と海水温の上昇が重なって溶解を促進したと考えられるという。(c)AFP/Shaun Tandon