【7月26日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は24日、グリーンランド(Greenland)の氷床表面が今月、30年以上にわたる衛星の観測で確認されたことがない規模で融解したと発表した。

 3機の人工衛星から得られた観測データをNASAと大学研究者らが分析したところ、7月中旬のある時点で氷床表面の97%が解けたとみられることが分かったという。

 NASA関係者によれば、インド宇宙研究機関(Indian Space Research OrganisationISRO)の人工衛星「Oceansat-2」の観測データを分析中に、7月12日にグリーンランドで大規模な氷床表面の融解が起きたらしいことを発見した。

 ほかの衛星からのデータもこれと合致するものだった。NASAが発表した融解域を示す地図によれば、7月8日には氷床表面の40%が融解し、4日後の12日には97%に急拡大した。

 NASAによればグリーンランドの氷床は例年、夏になると平均して表面の約半分が自然融解する。解けた水は通常、高所ではすぐに再凍結するが、沿岸地域では一部を除き海へ流れ出る。NASAは「今年は表面付近の解氷範囲が劇的に拡大した」と述べている。

 この大規模融解はグリーンランド上空を暖かい空気を含む強い高気圧が覆ったのと同時に起きた。今回の融解が海面上昇の要因となるかどうかはまだ分からないという。

 データ分析チームのメンバーで氷河学者のLora Koenig氏によれば、このような解氷現象は平均して150年に1回起こるという。最後に起こったのは1889年で、今回の現象もこの周期に沿ったもだがKoenig氏は「このような解氷現象が来年以降も続けば心配だ」と話している。(c)AFP