【7月11日 RenewableEnergyWorld.com】障壁の1つは資金だ。レッドルースにおけるロー氏のプロジェクトには3本の井戸があり、総工費は約5300万ポンド(65億円)。1本目の井戸に1500万ポンド(約18億円)が必要だ。

 だが資金調達は順調だ。英政府が600万ポンド(約7億円)を助成し、ある石油会社(ロー氏はその社名を明らかにしていない)が残りの一部を提供。同氏は残る約1500万ポンドについても別の企業が支援してくれるとみている。掘削のノウハウを持っている石油・ガス・採鉱企業が地熱発電のビジネスパートナーになるのは合理性がある。

 どんな掘削計画でもそうだが、ロー氏も掘ってみるまで地下に何があるのか正確には分からない。

 同氏は英政府がレッドルースに近いローズマノウェス(Rosemanowes)で1976~90年に実施した高温岩体に関する調査の専門的な情報を持っているが、井戸の生産性は最終的には温度や透水性、圧力、温度勾配など多くの要素に左右される。

 例えばオーストラリア南部のクーパーベイスン(Cooper Basin)地方で最近 50万キロワットのEGS発電を目指して始められたプロジェクトは、井戸の能力が期待を下回ったことから行き詰っている。このようにEGSには先行投資が無駄になるリスクもある。ロー氏は「掘削はやっかいなものだ」と言う。

 MITの研究の主執筆者で、現在は米コーネル大学(Cornell University)エネルギー研究所(Cornell Energy Institute)の所長を務めるジェファーソン・テスター(Jefferson Tester)氏も「しばらくは忍耐が必要だ」と話している。

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