【7月11日 RenewableEnergyWorld.com】想定されるリスクには掘削に付き物の振動も挙げられる。業界で「サイズミック・イベント」と呼ばれているこのような振動は、通常はせいぜいトラックの揺れ程度のものだ。しかし近隣住民対策上は大問題で、欧州では中止に追い込まれた地熱プロジェクトも数件ある。

 また、EGSには天然ガスや他の再生可能エネルギーというライバルも存在する。

 EGSの技術的課題の解決に向けた取り組みは、少なくとも1970年代から行われてきた。英ローズマノウェスの他に、米政府も1980年代に米ニューメキシコ(New Mexico)州フェントンヒル(Fenton Hill)で調査を行っている。

 世界的に再生可能エネルギーへの転換が避けられない今、EGSが再び脚光を浴びる可能性がある。ドイツ、フランス、スイスには小規模ながら進行中のプロジェクトがある。

 EGSは掘削過程がコストの半分以上を占めるため、ロー氏もレッドルースで掘削が終われば運営費用はぐっと安くなるはずだ。そうすればEGSは再生可能エネルギーであるだけでなく、エンドユーザーにとって低価格なエネルギーになる。

 これが実現すれば、ロー氏はドリルビットを見せなくても女王をうならせることができるだろう。(c)RenewableEnergyWorld.com/Mark Halper/AFPBB News

執筆者のマーク・ハルパー(Mark Halper)氏は、英国を拠点にメディア王から亜原子粒子まで幅広くカバーするフリージャーナリスト。CBS SmartPlanetにブログを執筆する他、米誌タイム(Time)、フォーチュン(Fortune)、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)、英紙ガーディアン(Guardian)などに寄稿している。著書に新しい原子力技術をめぐる国際競争の深層を描いた「Emerging Nuclear Innovations」(Kachan & Co.)がある。この記事はecomaginationに掲載された記事を、許可を得て再掲載したものです。