【6月11日 AFP】軽いが丈夫で、鉄製のポールより安価な竹を工事現場の足場に用いる光景はアジア各地で珍しくないが、この竹が今、インドネシアのバリ(Bali)島で、コンクリートや鋼鉄に替わる環境に優しい建築素材として着目されている。

 その汎用性の高さを生かした建物は、住宅や商店から学校、豪華リゾート施設、果てはチョコレート工場まで多岐にわたる。

 バリの州都デンパサール(Denpasar)と緑豊かなウブド(Ubud)のちょうど中間にあるシバン・カジョ(Sibang Kaja)村では2011年、竹でできた商工施設としては世界最大となるチョコレート工場が操業を開始した。食品会社ビッグツリーファーム(Big Tree Farms)が新たな試みとして建てたこの工場では、オーガニック・チョコレート飲料やココアバターを生産している。

 バリ島で進む竹建築プロジェクトの多くは、環境保護に関心の高い外国人らが主導するものだ。シバン村では、まるでそのまま地面から生えたように、黄褐色の竹と草ぶき屋根の家々が立ち並ぶ。

 3階建てのチョコレート工場は、挟み組み(シザーズトラス)と呼ばれる建築手法を用いている。バリ島とジャワ島産の竹、計1万8000メートル分を組み立て、インドネシア・カリマンタン島(kalimantan、ボルネオ島)伝統の長屋風建築を模したその造りは、まさに匠の技というほかない。

 少し離れたところにある「グリーン・スクール(Green School)」という名の学校では、外国人駐在員の子どもを中心に生徒240人が、竹製の机や椅子が置かれた半屋外式の教室で学ぶ。2008年に開校した同校は校内25施設が竹製で、本館には竹竿2500本が使用された。

 同校で入学事務を担当する米ニューヨーク(New York)出身のベン・マクロニー(Ben Macrory)さんは、こう語る。「中国や香港では竹で足場を組み、コンクリートとガラスでビルを建てるけれど、ここでは鉄の足場を組んで、竹の建物を建てている。そう考えるといつも愉快な気分になるんだ」

 今月20日からブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で開催される「国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)」でも、環境に配慮した「持続可能な建築」が重要議題に挙げられている。(c)AFP/Kadek Ariyani

【写真ギャラリー】バリ島の竹建築

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