【5月24日 RenewableEnergyWorld.com】独ソーラーパネルメーカーのソベロ(Sovello)は14日、破産を申請した。その前週の9日には同業のソルテクチャー(Soltecture)が破産申請したばかり。この1年間で破産申請したドイツの太陽光関連企業のリストにまた新たな企業が加わった。

 ソベロは自社生産したシリコンウエハーを使って太陽電池を作り、これを用いてソーラーパネルを製造していた。ソベロは独Qセルズ(Q-Cells)、米エバーグリーン・ソーラー(Evergreen Solar)、ノルウェーのリニューアブル・エナジー(Renewable Energy)の合弁会社だったが、2010年に独投資ファンドVentizz Capital Fund IVに売却されていた。

 エバーグリーン・ソーラーとQセルズも破産申請している。エバーグリーン・ソーラーは2011年11月、中核資産を中国系投資ファンドChina Private Equity Investmentに売却し、Qセルズは法的手続きを進めながら事業を続け、資金調達に取り組んでいる。

 ソベロはエバーグリーン・ソーラーの技術を生かし、一般的な厚さである200マイクロメートルよりも薄い135マイクロメートルの多結晶シリコンウエハーを製造していた。

 シリコンウエハーを薄くしてコストを下げるのは以前からソーラー技術の世界で目標とされてきたことの1つで、米ツインクリークス・テクノロジーズ(Twin Creeks Technologies)などは単結晶シリコンウエハーを薄くすることに取り組んでいる。だが、多結晶シリコンウエハーは薄くすれば壊れやすくなるという問題もある。

■価格下落に対応できず

 エバーグリーン・ソーラーは生産拠点の一部を中国に移転する計画があったものの、ソーラーパネル価格が大幅に下がる市場で競争し得るだけの迅速な生産コストの削減はできなかった。利益の拡大を目指し、製造業の枠から出て設備の設置などの事業に進出した企業もあったが、結局エバーグリーン・ソーラーは事業の多角化もできなければ、業界で最高効率のソーラーパネルを作ることもできなかった。
 
 この1年間に世界のソーラーパネル市場でみられた通り、供給が需要を上回る状況では価格競争に耐えられなかったり、厳しい時期を乗り切るための資金調達手段を持たない企業は生き残れないのだ。

■アジア市場に期待がかかるが・・・

 ソーラーパネル関連のメーカーは需要と供給の不均衡は2011年に解消されることを望んでいたが、米国のファースト・ソーラー(First Solar)とサンパワー(SunPower)、カナダのカナディアン・ソーラー(Canadian Solar)などの大手企業は2012年になっても損失を計上し続けている。

 最大の市場である欧州では、太陽光発電の成長を鈍化させかねない政策変更がみられている。アナリストやソーラーパネル企業の幹部の中には、欧州市場の減速分は中国、インド、日本などアジア市場の急成長で相殺できるのではないかと期待する人もいる。

 だが、インバーター大手の独SMAソーラーテクノロジー(SMA Solar Technology)は、新興市場によって欧州市場の減速分が穴埋めできるかどうかを判断するには時期尚早だとコメントしている。(c)RenewableEnergyWorld.com/Ucilia Wang/AFPBB News


執筆者のウシリア・ワン(Ucilia Wang)氏は、米カリフォルニア(California)州を拠点に再生可能エネルギーについて執筆しているフリーランス・ジャーナリスト。環境やグリーンエネルギーの専門サイトGreentech Mediaのアソシーエート・エディターや、ハイテク発明家と投資家を結ぶ情報サイトRed Herringで半導体業界のスタッフライターを務めた後、現在はRenewable Energy Worldの他、Earth2tech/GigaOm、Forbes、Technology Review(MIT)、PV Magazineに寄稿している。電子メールはuciliawang@gmail.com、ツイッターは@UciliaWang。

RenewableEnergyWorld.comにこの記事の原文(英語)が掲載されています。