【5月23日 AFP】ペルーのグラディス・トリベーニョ(Gladys Triveno)生産相は22日、今年に入ってからペルー北部の海岸に打ち上げられた900頭近くのイルカの死因は人間の活動によるものではないという調査結果を発表した。

 ラジオでイルカ大量死に関する政府の調査結果を発表したトリベーニョ生産相は、「大量死は自然の原因によるものだという結論に達した」と述べた。

 トリベーニョ生産相によれば、国が運営するペルー海洋研究所(IMARPE)が行った調査の結果、イルカの大量死は人為的原因によるものではなく、自然界で定期的に発生するものだという結論が出された。

 トリベーニョ生産相は「(大量死の)発生は今回が初めてではない」と述べ、ニュージーランドやオーストラリアなどの国でも似たような事例が報告されていると指摘。政府調査による結論について、「死因が別のものであるという証拠を探し回る必要はない」と述べた。

 また調査では、当該海域で行われている石油探査活動がイルカに何らかの影響を及ぼした可能性や、ウイルスやバクテリアの感染が死因となったとの説についても否定されたという。ペルーではイルカに加え、ペリカンなどの海鳥5000羽の大量死が発生しているが、政府当局者は先に、これらの大量死は太平洋海域での海水温上昇によるという仮説を立てていた。

 ペルーでは複数の環境保護団体がこの政府調査の信頼性について疑いの目を向けており、イルカ大量死は沖合の石油探査活動と関係していることは確実だと主張している。

 そのうちの1つ、海洋動物保護科学機関(ORCA)は、同海域での石油探査で発生する騒音がイルカの健康に害を及ぼすことが判明しており、大量死はこの騒音が原因だと主張している。

 ORCAによれば、同団体が今月に入って打ち上げられたイルカ30頭の死骸を調べた結果、潜水病(減圧症)に見られる耳などの器官の損傷が確認されたという。(c)AFP

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