【10月14日 AFP】ヒマラヤ山岳地帯の環境改善に取り組む民間環境保護団体「エコ・ヒマル(EcoHimal)」が、世界最高峰エベレスト(Mount Everest、8848メートル)に簡易トイレを設置するようネパール政府に要請している。

 毎年、エベレスト南側にあるネパールのベースキャンプから山頂を目指す登山家は数千人にのぼるが、こうした登山家たちが「自然の欲求」をもよおしたときに、用を足すための「洗練された場所」があれば、エベレストの浄化により役立つはずだと、「エコ・ヒマル」は言う。

 登山隊の多くはトイレ用の缶を持参しているが、荷物を運ぶポーターらは近場の雪の中で用を足すしかないという。

 環境活動家らによると、エベレストには過去の登山隊が残していったごみが散乱しており、なかには遭難者の遺体もあるという。極めて低い気温のため、こうしたごみが完全に分解するには数十年の歳月を要する。

「エコ・ヒマル」によると、簡易トイレの設置については、エベレスト山頂を含む同山域一帯のごみ管理計画の一環としてネパール政府で協議される見通しだという。

 環境活動家らの話では、エベレストを訪れる登山家たちのなかで、ごみを残さないよう気を配る者は多くはない。ネパールを拠点とする環境活動家らが作る民間環境団体「エコ・エベレスト・エクスペディション(Eco Everest Expedition)」が2008年から行っているエベレスト清掃登山で回収したごみは13トン以上、排せつ物400キロにのぼる。また、4遺体も回収している。(c)AFP