【8月5日 AFP】国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)は4日に発表したナイジェリア最大の産油地帯ニジェール・デルタ(Niger Delta)に関する報告書のなかで、同地帯の一角を占めるオゴニランド(Ogoniland)を数十年にわたり荒廃させてきた石油汚染について、史上最大規模の除去作業が必要だとの認識を示した。

 さらにUNEPは、除去作業の費用として10億ドルを拠出するよう、石油産業とナイジェリア政府に求めた。

 報告書は、オゴニランドの石油汚染が及ぼす広範囲な影響について2年間、実施した科学的調査の結果をまとめたもので、同地域の再生には少なくとも30年かかると予想した。

 報告書によると、オゴニでは少なくとも10の共同体で、飲み水が高濃度の炭化水素で汚染されていた。オゴニランド西部のある共同体の井戸は、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)の基準を900倍以上も上回る高い濃度のベンゼンで汚染されていたにも関わらず、人々はこの水を日常的に飲んでいた。

 人権活動家らは、石油汚染の元凶として、1993年に同国から撤退するまでオゴニランドで操業していたナイジェリア史上最大の石油会社、英・オランダ系アングロ・ダッチ・シェル(現ロイヤル・ダッチ・シェル、Royal Dutch Shell)を強く非難している。

 シェルが同地からの撤退を余議なくされたのは、住民らの貧困に加えて、同社のパイプライン建設は環境を軽視したものだとの疑惑がきっかけで、地元で騒乱が発生したためだった。

 地元のボド(Bodo)村は、2008年と09年の原油流出事故をめぐり、シェルに損害賠償を求める訴訟を英国で起こしていたが、シェルは今週になって、この流出事故に関する責任を認め、損害賠償することを明言した。

 その一方で、シェルは流出した原油量は4000バレルで、オゴニランドの環境破壊の主な原因は、違法な石油精製や(オゴニランドに敷設された)パイプラインからの原油の抜き取りにあると主張している。(c)AFP/ Ola Awoniyi