【7月15日 AFP】英領チャネル諸島(Channel Islands)ジャージー(Jersey)島で開かれていた国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)の第63回年次総会が14日、4日間の日程を終えて閉幕した。南大西洋(South Atlantic)の鯨禁漁区(サンクチュアリ)設定をめぐる採決では、これを不服とする捕鯨支持国が退席するなど、いつもながら反捕鯨国と捕鯨支持国との対立も見られた。

 現在、捕鯨が禁じられている海域は南極(Antarctica)周辺海域とインド洋(Indian Ocean)だけだが、南大西洋にも捕鯨を禁じるクジラ保護海域を設定するようブラジルとアルゼンチンが採決の実施を呼びかけた。だが、日本を筆頭とする捕鯨支持国が退席したため、投票に必要な出席国数を満たせず、採決は見送られた。

 毎年、南極海で調査捕鯨を実施している日本は、反捕鯨団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation SocietySS)」の妨害宣言にも関わらず、来シーズンも調査捕鯨を行うと言明している。
 
■わずかながら進展も

 反捕鯨国と捕鯨支持国との深い溝が浮き彫りとなるなかで、わずかながら進展も見られた。

 その1つが英国が透明性確保と「票買い」防止の対策として提案した加盟国の分担金支払い方式の変更案が採択されたことだ。

 これまでの方式では、加盟国が10万ドル超の分担金を現金や小切手で支払うことを認めていたが、この慣習は不正の温床となりかねないと指摘されていた。

 さらに、IWCが保護種と認定するクジラ目を、現在の15種から小型のクジラ目やイルカ、ネズミイルカにも拡大していくことでも合意した。(c)AFP/Anthony Lucas

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