【6月28日 AFP】オーストラリアのカモノハシの生息地が、地球温暖化の影響で現在から3分の1程度、減少する危険性があるとの研究結果が、24日の専門誌「グローバル・チェンジ・バイオロジー(Global Change Biology)」に掲載された。

 鳥類、ほ乳類、は虫類を組み合わせたような姿をしたカモノハシは、オーストラリアの珍獣の1つ。夜に活動し、水辺に巣穴をつくってキツネやワシなどの天敵から身を守り、冷たい川底や水中の穴で生き延びるために水を通さない分厚い毛皮を着ている。しかし気候が温暖化するにつれて、この分厚い毛皮が大惨事を引き起こしかねないという。

 豪モナッシュ大学(Monash University)の研究チームは、100年以上前までの気候データとカモノハシの生息分布データをもとに、カモノハシの個体数の減少と、干ばつや熱波との関連性を分析した。この結果を、オーストラリア国立自然科学産業研究機関(Commonwealth Scientific and Industrial Research OrganisationCSIRO)の提供するいくつかの気候変動シナリオに当てはめ、温暖化がカモノハシに及ぼす影響を調べた。

「最悪のシナリオでは、生息に適する場所が3分の1程度、減少する」と研究者のジェニー・デービス(Jenny Davis)氏はAFPに語った。最悪の場合、カモノハシはオーストラリア大陸からは消え、タスマニア(Tasmania)島や南部のキング(King)島、カンガルー(Kangaroo)島にしか生息しなくなる恐れもある。

 また、整地やダム建設などの人間の活動によっても、カモノハシの生息地は減少する危険性があるとデービス氏は語った。(c)AFP/Amy Coopes