【2月14日 AFP】ワイン生産で世界に名高いフランスのボルドー(Bordeaux)でも、さらに権威の高いシャトーばかりが集まる会合で、ボルドーワインの原料となるブドウが地球温暖化の脅威にさらされていると、気候問題の専門家が警鐘を鳴らした。

 8日、名シャトーのワイン生産者たちを前に発表したフランス国立農業研究所(INRA)の研究者によると、最悪のシナリオでは2050年までに、ボルドーの気候はカベルネ種やメルロー種といった赤ワインの主要品種の栽培に適さなくなる可能性がある。しかも現在起こっている変化はその最悪のシナリオをたどっており、「事態は切迫している」と述べた。

 気候変動はボルドーでは、最低気温の上昇や夏の干ばつとなって表れると言う。最低気温が上昇すればブドウは早く熟しすぎ、干ばつは果実の成熟にとって重要な時期に水分不足に陥る危険がある。そうしたブドウのアロマはさわやかさに欠け、またワイン自体も優雅な熟成を可能とする酸味や糖度、タンニンの微妙なバランスを欠いてしまう。当然、市場での価格にも影響する。

 しかしこの悪い知らせにめげることなく、生産者たちはこうした問題を乗り越えることができると自信を持っている。主催した会の技術委員会に所属する生産者のフィリップ・バルデ(Philippe Bardet)氏は「気候変動が一気に起きたら、難しいかもしれない。けれど徐々に起こることならば、われわれは適応できるだろう」と述べた。 

 ブドウ生産者たちは科学者たちが気候変動について警告を始めるよりもずっと早く、30年ほど前からボルドー周辺の気候がその特徴である「変わりやすい天気」の範囲を超えて、上下に異常なパターンを示していることに気付き始めていた。バルデ氏は「気候が温暖化していたことは1980年代から気付いていた。収穫日がそれ以前よりも早くなったからだ。けれど今ではそれで安定しているようだ」と話した。

 さらにワイン業者たちはすでに温暖化への対策に着手している。同じ品種内でわずかに特徴が異なるクローンの使用だ。過去には果実の熟成が遅すぎるとして排除された品種を交配で復活させたり、干ばつに強い台木の研究などが行われている。(c)AFP/Suzanne Mustacich